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2007年4月15日 (日)

第9,6人の指揮者・オーケストラ

ベートーベン作曲 交響曲第9番 ニ短調 「合唱付」 OP.125

指揮者と演奏時間
フルトヴェングラー :74分14秒
アバド :62分19秒
フリッチャイ :68分14秒
ベーム :69分09秒
カラヤン :65分09秒 

1.
ウィイルヘルム・フルトヴェングラー;バイロイト祝祭管弦楽団:合唱団 独唱者:略

 1951年7月29日ライブ録音:CD
 世紀の巨匠の名演といわれている。

 指揮台に登壇するまでのフルトヴェングラーの足音、割れるような拍手まで収録され ている。
 全曲テンポがゆっくりである。アバドに比べて12分も長い。
オケのパートの音色がくっきりしていて、ひとつのフレーズのアクセント、伸ばし方に特徴的なところがあり、悠揚迫らざる風格をみせる。終結部に入るとテンポが険しくなり起伏が激しい。

第2楽章のティンパニーのソロ、上岡俊之:N響のは乾いた済んだ高い音であったが、こちらは低く重量感で圧する。
全体に金管楽器が鋭く澄んだ音色。弦のスタッカート、クレッシェンドに.緊張感、迫力が増大する。

第3楽章
クラリネット、ファゴットに重なり受け継がれる弦楽器群の構想の雄大な3部形式の展開。かなりゆったりとしたテンポ。中間部の弦の美しい旋律が管楽器と歌いあい、ピチカートが効果的に深々とした感情を豊かに表現する。
オーケストラ、どのパートも固有の音色を豊かに出して美しい。

第4楽章
型破りな序奏は重厚な低音をフォルテではじめるのだ。
プレストの指示であるが、やはりテンポは依然,悠揚迫らざる感。
次々と弦、管のパートが変奏し、主要な歓喜の主題に迫ってゆくのである。
ソプラノ;エリザベート・シュワルコップ。

1951年モノラル録音オリジナルをマスターリングしている。
トゥッティでffのところは音の響きが割れるのが、やや難点と感じたが、やむをえないのだろう。
交響曲演奏歴史上にも貴重な演奏、再録盤なのだろうと感じた。

2
.クラウディオ・アバド;ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団:エリック・エリクソン室内合唱団&スエーデン放送合唱団

2000年5月ライブ録音:CD
偶然、フルトベングラーの次に選んだのが、今回の5枚のうち一番短時間での演奏のこのCDであった。

① 全楽章テンポが速いのであるが、特にこの楽章では迫真、不安感を増幅させるテンポ。

②ティンパニーは重層の下で低く、ソロ的な印象ではなかった。オケの重層的 ff、 弦のスタッカート、フルートのフレーズが印象深かった。

③ 注目の第2主題とでもいうのか、ヴァイオリンがリードし深々とした崇高さを感じさせるところは抑制し、強調しすぎないような、そのような印象だった。

④テノールなどのソロ、混声4部のコーラス各部、特にソプラノ、録音技術と相俟ってあろう、オーケストラに埋没することがなく、クリアに見事に歌唱力美しい声を再現させて
素晴らしかった。

全曲を通してテンポの速さがダイナミックな表現であり、オーケストラの各パートの音色がクリア、ソリスト、コーラス、ベルリン・フィルのアーチストが見事な演奏であった。

3.
フェレンツ・フリッチャイ;ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団:聖ヘトヴィッヒ大聖堂聖歌隊

1957,1958年ベルリン 録音 CD
 
①ややテンポがゆったりめ。強弱のアクセントは控えめで拍子のとり方に個性的、独自性を感じたところがある。

②ティンパニーは高く鋭く、残響が短い。クラリネット、フルート、弦楽器の音色がクリアで美しい。

③アバドのこの楽章の演奏の印象と共通するものがあった。 が、クラリネット、ホルンの音色が美しく、低音域の弦のピチカート、ヴァイオリンの奏する主題の旋律も美しかった。特に金管楽器が清澄な美しさが心に残る。

④ 低音域弦楽器の重厚な旋律は感動を呼ぶ。
バリトンは、フィッシャーディースカウ。

4.
カール・ベーム;ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、合唱団

 1963年11月7日 日生劇場 録音 CD
日生劇場こけら落としのためにカール・ベームはじめオーケストラ、ソリスト,コーラス全員が初来日だったそうだ。
40年前のライブ録音。
ベームはこの演奏を含め第9を5個のデスクを残している。
解説佐川吉男氏によると、ベームの音楽の作り方は、虚飾も恣意も妥協も全くないが、こくがある・・・という。

さて、演奏は全体にテンポが速く、フレーズのアクセントのおきかた、ダイナミクスのとり方に説得力があるアーティキュレーションだ 

いま第3楽章を聴いているが、個性的なアダージョ・モルト・カンタービレが美しくアンダンテ、テンポが曲趣にふさわしいように思う。

第4楽章、オーケストラの鳴らし方、管楽器群にも独自のものを感じるところがある。
声楽のユニゾン、伝統を感じさせる美しさ、深みを感じさせる。







Fi2619734_2e  5.
ヘルベルト・フォン・カラヤン;フイルハーモニア管弦楽団:ウィーン樂友協会合唱団


 録音日 不明 LP;

ロンドンを本拠地としていたフイルハーモニア・オーケストラとカラヤンとの出会い、第9を演奏しエンジェル・レコードでリリースされたのは1950年代前後のようで、日時の記載がない。
そしてこのモノラルのマスターからLPステレオ化し、東芝EMIがリリースしたのは1960年代前半のようで、レコードのジャケットに来日記念の帯があり、日時の記載が見当たらない。

 このオーケストラは、弦楽のアンサンブルとホルンのペアほか金管楽器の豊かな響きの演奏をする定評があったそうだ。
そうしたオーケストラのよいパーソナリティが、カラヤンのビートが精緻といわれる指揮法に鋭敏に反応し、名演奏を残したのだろう。

第3楽章、カラヤンはこうなのだ・・・安らぎと不安を覚える感情の推移が深々と表現され、感銘深い演奏だった。




Fi2619734_3e 第4楽章、テノールのソロ、カラヤンのテンポなのだろうか、コーラスも中間のオーケストラのところも全体に奥深さを感じさせるテンポ、ダイナミクス、アクセントのとりかただ。
ソプラノ、エリザベート・シュワルツコップ、美しい。壮大華麗なクライマックスを聴きながら、全曲を通しての印象が感動的な完結になったのだと感じた。

上岡俊之&N響を聴いて思うこと

演奏時間;65分13秒ほど
今回聴いた6人の指揮者のことを通して演奏時間に拘ってみると、近年になるほど、短くなっている。
結局、上岡氏が一番演奏時間が短いことがわかった。

テンポが速いということは、緊迫感を増幅させると素朴に感じてきた。
それに、情緒的に感じやすい私の性癖で,関心が第3楽章の二つ目の主題を注視してきて、上岡氏の演奏に一番心を動かされた。
戦後の欧米のオーケストラ演奏を巨匠たちが率いて残した伝統、文化と、戦前戦後、世界中まれな演奏回数の多い第9を愛し続けてきた日本の違いのようなものも感じた。


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